楽曲紹介と詳解 [Element Embrace]

黒猫喫茶さんの成人向け同人ゲーム”Element Embrace”に楽曲を提供させていただきました。
次回アップデート「光の果て」で追加される、ラストバトルの曲です。

楽曲コメントは黒猫喫茶さんのCi-enに寄稿させて頂いたのですが、いうてネタバレあるし楽曲のガチ詳解するのはなあ……と尻込みして詳解は避けたところ、黒猫喫茶の静馬レイさんから「You やっちゃいなYo」と背中を押していただいたので(アドバイスは事実ですがセリフはフィクションです)、自分のサークルの記事で書くことにしました。

以下ネタバレ注意

タイトルについて

「UMKUD ~ 光の果てへ」の「光の果てへ」は今回のアプデテーマに寄せているのは分かると思いますが、
UMKUDは楽曲テーマである「無限の可能性、収束、そして発散」をドイツ語訳し(“Unendliche Möglichkeiten, Konvergenz und Divergenz”)、ノタリコンを適用したものです。

モチーフについて

今回のボスである「ファランドール」のテーマとして、以下のモチーフを設定しています。

モチーフ+伴奏

開始は[ファ,ラ,ド]です。ファランドールだけに。これは絶対やりたかった。
このモチーフは至るところで流れます。

各パートについて

A(イントロ) → B → C → D → E → F → G → H → I → A… という構成になっています。

A,B(0:00~0:47)

A, Bはファランドール戦という緊張感を全面に押し出したパートです。
A,B共通して神々しさを出してますが、Bの弦楽が奏でる和音に不気味さを込めて緊張感を出しています。

C(0:47~1:07)

少し雰囲気を変えて、フルートとオーボエが優しいメロディ奏でます。対峙していても完全なる敵対ではないという意思を滲ませます。

D(1:08~1:23)

戦闘のテーマとして設定した、第2のモチーフが表れます。シャレは無いです。

またDは「戦闘」の裏で「回想」を表しています。「可能世界収束点ヘルヘイム」であることを鑑て表現するため、きみどりルクスさんとlentさんが提供された楽曲「煌星」「星の記憶」「Lucent Shine」「HEXENNACHT」の4曲それぞれからモチーフ等を拝借してここに全て詰め込んでいます。

拝借した4曲を入れた箇所を抜粋

HEXENNACHTはちょっと分かりづらいと思いますが、クラリネットがHEXENNACHTの1:12~(メロディを全部4部音符に短縮)、フルートがイントロ明けの駆け上がりになっています。

E(1:24~1:45)

C~Dからの流れを、管弦の力強いアンサンブルで否定します。
ピアノが高速で弾くファランドールのテーマが、この戦闘が容赦ない試練であることを示します。

F(1:45~3:30)

過去の全てが否定され霧散するも、徐々に収束し意思を形を作っていくパートです。
ゲーム中での「星」から続くテーマを象徴させています。一番宇宙っぽいのもここでは無いでしょうか。
僕が(自称)すぎやまこういちオタクだと知っている方は、合いの手で入るバルトークピチカートでニヤリとするかもしれません。

G(3:31~4:16)

未確定の意思(≒カオス)が一気に収束し、完全となるパートです。
金管が奏でるメロディは初めにTpが3/4, Hrが5/4, Trbが4/4というように別々の拍子で動き、終わりが完全に一致した瞬間にこの楽曲の2つのテーマを奏でます。

H,I(4:17~)

収束した意思や可能性が安定し始めた、というパートです。ループ前のパートということもあり、Gには無いA独自の緊張感を、ここでじわじわ入れていきます。G~Hまでの流れを以って「光の果て」の表現としています。
この曲はAが気に入っていることもあり、ループは冒頭1小節目に戻していますが、ループを含むここまでの一連の流れが繰り返されることが万物の流転を表しているようで気に入っています。これは後付けなんですけどね。


というわけで、詳解でした。
改めて、EEが持っているテーマ、細部まで練られたシナリオ、それらを彩る絵と音楽こそがこの曲をここまで導いてくれたのだと思います。久々に手応えのある作曲と、それに応えられる曲が出来ました。ありがとうございました。


(2020/12/16 加筆)
楽譜も追加したい……

ここまで

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