紲星あかりの目指せ最強ボイスロイド ~ インタラクティブミュージック解説

先日の記事でも紹介した「紲星あかりの目指せ最強ボイスロイド」にはゲーム中では気が付きにくいですが、インタラクティブミュージック(IM)を仕込んでいます。

以下、一応軽いネタバレもあるので気にする方はお早めにゲームプレイをどうぞ。

ここから

今回のゲームは4面ボスに東北きりたん、5面ボス戦に東北ずん子という東北姉妹コンビでした。
5面ボスは2ラウンド形式で、ずん子単体 → 会話 → きりたん+ずん子 の流れで戦闘を行います。
そのため、思いついたギミックは以下の2つです。
1. 4面+5面BGMを同時再生させても一つの曲として聴ける。
2. 戦闘の流れでBGMをフェードアウトせず、繋げて遷移させる。

1.はアトリエでもこういう手法を取っているのを聞いていたのでガッツリ参考にしています。
2.は最近のゲームではよく取り入れられているIMの手法です。
IMを実装しない場合は会話に移った段階でステージの曲を流す、といった手法が取られます。
ボスBGM→ステージBGM(ちょっとしか流れない!)→ボスBGMはプレイヤーのテンションが乱高下しがちなので、避けたいところでした。

作曲~実装は予想以上に地獄でした。こういうところにやたらコストかけれるのは同人の良いとこですね。
まずはゲーム画面と一緒に御覧ください。

作編曲

まずはピアノでメロディ・ベース・コードを、4面と5面で別々に組んでいきます。
曲調の指定は和風だったため、4面は都節、5面は陽旋法でメロディを構成することにしました。
以下はピアノの編集画面です。赤が濃いほうが4面の曲です。

旋法を分けたせいで苦しさ倍増です。正直やらなきゃよかった。
どちらかをAパート分などキリのいい箇所まで打ち込んだ後、もう片方をなるべく音がぶつからないように配置して、ぶつかっていたらなるべく問題のないように音をズラして……の繰り返しです。

後はメロディの組み方だったり……下図は片方を強拍、片方を弱拍に置いて、同時に流したときになるべく面白くなるようにしています。
また、こういうコードの変化が少ないところは作るのがかなり楽でした。

今回ドラムパートは共通です。本当ならドラムも含めて別々にしたかったのですが、技量がないので今回は共通にしました。
特に差別化した点はベースで、4面はスラップベースで多々動かしているのに対して5面はフィンガーベースであまり動かさないようにしています。

作りやすさ重視の構成にしましたが、欠点は両方とも同じ曲に聴こえるという点です。今回は東北姉妹だったので言い訳もできますが、ゲームの設定によってはもっと凝らないと厳しいでしょう。

組み込み

ずん子戦 → 会話時はどのタイミングで移るか分からないため、なるべく遷移するタイミングを細かくしていく必要があります。
ただし、細かくすればするほど曲として繋ぐ作曲難度も高くなるため、今回はモチーフ単位(2~4小節程度)の粒度にしました。
ほぼフィーリングでの決定ですが、メロディが一息ついたタイミングや展開が終わったタイミングを切れ目にしています。
これは「横の遷移」と呼ばれます。

なお今回はADX2のブロック再生機能を使用しています。上部のカラフルな領域をブロックと呼び、このブロックで再生や遷移タイミングを管理できます。
ずん子単戦の場合は通常の曲再生と変わらず、イントロからブロックが順々に再生され、灰色のBoss5_D7まで再生し終わったらAメロのブロックに戻る……というような具合で曲全体がループします。
しかし、ずん子撃破時には黒色のBoss5_Fill_1に遷移しろという命令をプログラムから送っています。(下記動画 0:52付近)

この命令によって、どのブロックであっても終端まで再生したら次はBoss5_Fill_1の頭から再生するようになります。
Boss5_Fill_1~が会話パートの際のBGMですが、この会話は少し進んだ段階できりたんが登場するため、きりたんが登場したタイミングで更に別のパートに遷移させています。(0:55~)
遷移する時だけ音を鳴らす、という仕掛けもできるので、ブロックが遷移する時にアウフタクトでスラップベースを入れています。
そして「東北姉妹のコンビネーション~」のちょっと前で4面5面ボスを同時再生するブロックに移っています。

同時再生

同時再生用のイントロを流したら、別のキュー(音の再生単位)を再生しています。ここの自然な繋がりもADX2便利ポイント。
ゲームでは2人同時に相手をする必要があり、各々HPゲージを持っているので、どちらかを先に倒したら倒した方のBGMを消すようにしています。そのため上の画像のようにきりたんとずん子のメロディを別に用意して、メロディ単位で音量調整が出来るようにしてあります。
これを「縦の遷移」と呼びます。

メロディの音量の制御はAISACという機能を使用しています。これはゲーム中で指定した値に応じて、様々な音制御のパラメータを一気に操作することが出来る機能です。
今回は単純な設定にしてあります。例えば先にきりたんを倒したら、プログラムから「Boss4_mel(画面上部にある横軸の値)を1.0に指定」という命令を送ります。すると内部では1.0の位置に対応するグラフの値(今回は黄色のボリューム)である0を設定します。
このような処理をそれぞれのメロディトラックに持たせることで、状況に応じた音量コントロールが出来るようになっています。
AISACはボリュームの他にもピッチとかパンニングとか操作できますが、果たして使う機会があるのだろうか……。

なおブロック機能使用時の注意ですが、今回のような横の遷移を行う場合は、遷移の粒度に応じた波形ファイルを用意する必要があります。この時DAWではブロックの長さピッタリ書き出すのではなく、余韻部分を残した状態で書き出します。
例えば2小節毎の波形ファイルが必要な場合、2小節 + 残響が程よく消える2~4小節、といった具合に書き出します。
これを行わないと多くの場合でループやブロックが移った際に高確率でノイズが走ります。

Cubaseだとサイクルマーカー使うと書き出しの時便利です。これ無いと詰みます。終わりです。
画像では2小節を余韻分として多く書き出しています。


そんなこんなで作った曲はSoundCloudで聴けますので、色々思いを馳せながら聴いていただければと思います。


4面ボス
5面ボス

ここまで

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